【コナンで医学を学ぶ】ウミヘビの毒について
どうも,とみーです.
コナンの総集編,お楽しみいただけているでしょうか.
医学生を日頃やっています.
そんな自分だからこそできるコナンのまとめはないか,ということで,
コナンに出てくる医学的な知識を深めていきたいな,と思い,
新たなシリーズを作りました.
その名も,
コナンで医学を学ぶ
です.
ブログってアイデアは思い浮かぶんですけど,更新するのが大変ですよね...
ぼちぼち更新していこうと思っています.(なので,巻数の順序とかはまちまちになると思います.)
今回取り上げるのは,
17巻に登場する
エラブウミヘビ
です.
沖で,殺人未遂事件として起きた事件で使われた
エラブウミヘビ.
このウミヘビに噛まれた応急処置をコナンが行なっているのですが,
妃英理が解説しています.
お茶に含まれるタンニンの成分で傷口を洗い,毒を中和するのが,ウミヘビに噛まれた時の最善の応急処置.
噛まれた患部を縛って、毒を他人が口で吸い出しす.
(この際吸い出す人もお茶で口を濯ぐ必要がある)
特に,タンニンが多いのは番茶と紹介されている.
エラブウミヘビは,
日本でも石垣島のシュノーケル中に遭遇することが多いらしいです.
(参考:
http://marine-time.net/2014/11/26/umihebi/
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/エラブウミヘビ
http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/venoms.htm
)
コブラ科に所属するウミヘビで,
陸上のハブの70〜80倍の神経毒を持っているようで大変です.最悪死に至ります.
口が小さく,性格が大人しいので基本噛まれることはないが,無闇に触らない方が良い.
この神経毒の主成分は,
エラブトキシン
です.
そもそも,ヘビ毒は年間世界中で250万人の人が被害を受けていて,約10万人の人が死亡しています.
ヘビ毒には,
1出血毒
2神経毒
3筋肉毒
があり,
コブラ科は,2に該当することが多いようです.(1の成分もあり.)
ある量の毒投与を,
試験をするマウスを全体100匹に加えたときに
半数のマウスが死ぬ毒の投与量をLD50(mg/Kg)と言いますが,
ヘビ毒はLD50が0.2-5です.
(青酸カリが10であることからも毒性は強い)
この毒によって,
Hypovolemic shock
と
Toxic shock
が起き,死に至るようです.
1に関して,
毒には,
(代償的)出血作用,血小板凝集阻止作用,線溶作用,血管透過性作用などがあるようです.
この作用は,
血液のプロトロンビンを活性化させ,血液を凝固させる.
その凝固因子が,消費することで,
代償的に凝固因子が減り,出血が止まらなくなる.
ということらしいです.
2に関して,
神経毒成分の
エラブトキシン
は,α-neutrotoxinsというポリペプチドに類似するもので,
神経筋接合部のシナプス後膜のニコチン性アセチルコリン受容体と接合することで, 神経終末から放出される神経伝達物質アセチルコリンの結合を妨げるようです.
???
って方も多いと思います.
簡単にいうと,神経と神経の間の空間では,アセチルコリンっていうのが情報伝達として働くけれども,
伝えようとしている側の受け取りボックスに
アセチルコリンの代わりに,エラブトキシンが入ってしまうことで,アセチルコリンの情報が後ろの神経に伝わらないってことです.
これによって,筋肉が収縮できないなどで死に繋がります.
ここで,タンニンとヘビ毒に関する論文を検索したところ,
あまり正確なものはヒットしませんでした...
このブログ,オワオワリですね.
どうやら,タンニンには,そのタンパク凝固作用で,
局所タンパク作用との結びつきや,小血管の閉塞なども毒拡散吸収,さらに出血阻止も面から良いそうです.
(てっきり1だと思ってました.)
つまり,2の成分というよりは,1の成分に効果を発揮するもの,という解釈らしいです.
もし,この話について,見識のある方やこんな論文見つけたという方はご連絡ください.
(これはもはやボツでは.)
以上.